ふと、今年一年どういう本を何冊読んだのか、記録してみようという気になったので読んだ本をひたすら記録するエントリを作成してみました。
たいして読書家でも、書痴でもないので、そういう方々が多いはてな界隈では恥ずかしい限りなのですが。


★1月1日〜11日

満漢全席―中華料理小説

満漢全席―中華料理小説

→南條氏の出世作、「酒仙」は未読ですが、この本は…。
文体も内容もひどくつまらなかった。
食材や料理の背景にある文化的理解なしに食欲中心の構成。
いかに青木正児『華国風味』

華国風味 (岩波文庫)

華国風味 (岩波文庫)

が優れているかを再認識。

家族八景 (新潮文庫)

家族八景 (新潮文庫)

有名すぎて、読んだ気になって実は読んでなかったので。「七瀬」シリーズ第一作。


墨攻 (新潮文庫)

墨攻 (新潮文庫)

酒見賢一氏は、『後宮小説

後宮小説 (新潮文庫)

後宮小説 (新潮文庫)

を、発売当時に購入し、
いたく感銘を受けたものでした。
今でも個人的ベストの上位に位置してます。
最近、これを中くらいに読ませてあげたら、やはりいたく感銘を受けておりました。しかし、その後続々と書かれた氏の作品をきちんとフォローしてこなかったので、今年は読破するつもりです。
そういうことで、まずは『墨攻』から。
アンディ・ラウ主演の映画の方は、2007年公開早々に観ました。


中国社会はどこへ行くか―中国人社会学者の発言

中国社会はどこへ行くか―中国人社会学者の発言

2007年から1年ほどかけて雑誌『世界』に連載された、園田茂人氏と中国人社会学者の対談をまとめたもの。
現在の中国社会を分析する視角がコンパクトにまとめられている。
欲を言えば、対談相手の先生方の業績や文献リストをもう少し充実してたら、ってそれは自分で調べろという話か(笑)


ウッドストック 03 (BUNCH COMICS)

ウッドストック 03 (BUNCH COMICS)

浅田有皆氏の音楽漫画第三巻目。いよいよバンドも佳境に入っきました。
原作は『コミックバンチ』で連載中。第四巻マダー?


★1月12日から18日まで

伝説の日中文化サロン上海・内山書店 (平凡社新書)

伝説の日中文化サロン上海・内山書店 (平凡社新書)

1917年から終戦までの時期に上海で内山完造が妻美喜とともに開いた「内山書店」の歴史。内山完造は、内山書店を中心として日中関係史の重要な一部を担ったのであるが、この新書ではそうしたさまざまに重なり合い関係し合う歴史(と歴史的人物)が実に手際よくかつ魅力的に描かれています。勉強になりました。

神保町の内山書店と上海内山書店の関係については、以下を参照のこと。
http://chiyoda-days.jp/future/staffblog/legwork/2008/09/vol50.htm


冷食捜査官(1) (モーニング KC)

冷食捜査官(1) (モーニング KC)

昔、とり・みきが好きだったんです。
そのことを最近思い出し、自分内では第二次とり・みきブームです。
それを脇に置いておいても、この漫画は面白いです。
合成食品しか合法的に口に出来ない近未来の世界で、前世紀の遺物「冷凍食品」をイリーガルに食そうとする人々とそれを摘発する捜査官「冷食捜査官」の壮絶かつほろ苦い戦いの数々。


江南の鐘 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ1816)

江南の鐘 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ1816)

去年、ロバート・ファン・ヒューリックの「ディー判事」シリーズを恥ずかしながら初めて読んで、その面白さに取りつかれました。
ファン・ヒューリックの古典への造詣の深さと小説そのものの面白さにただ感服。
今作で、「ディー判事」シリーズ的には一応全部翻訳が完了みたいです。


七瀬ふたたび (新潮文庫)

七瀬ふたたび (新潮文庫)

エディプスの恋人 (新潮文庫)

エディプスの恋人 (新潮文庫)

「七瀬」シリーズ読了。
原作は70年代に書かれているので、今では使われない言葉が出てきたりします。
たとえば、背の高い七瀬を「半鐘泥棒」とか(笑)
しかし、そういう時代背景的な古さを取り除いても、このシリーズ全体で出されたアイディアの斬新さや、ストーリー展開の面白さにびっくりしました。
最近「七瀬ふたたび」がドラマ化されていて、それをちらっと見たのが原作読んでみようという気になったきっかけなんですけどね。
30年たってもドラマや映画のコンテンツとして十分魅力的です。
とくに『七瀬ふたたび』の超能力者対巨大な組織(国家)とかっていう図式は、
昨今のアメリカンドラマの先を行くような展開です。

そういえば、昔浅田彰だったかしらん、

筒井康隆は、世界の作家の中では2流だ。誤解しないでほしいが、僕の言う2流はそもそもすごくレベルが高い」
的なことを言ってたのを雑誌で読んだ記憶があります。
たしかに、現代的な優良コンテンツを生む力がスゴイ!というのは再認識しました。
が、ヒトの記憶に一生残る(人生変えちゃうくらいの)読書、という言う意味での
感慨は上記作品にはないので、なんか今頃浅田(?)発言に同意したい気持ちになったことも付記。