昨晩、例のカワハギの調理をした。何しろ体長が10センチそこそこの小さな姿なので、頭を下手に落としただけで全て終わってしまいそうである。また、彼らの存命時の元気な姿も拝見してしまっているので、よけいに調理に取りかかりにくい。
ええい、ままよ、と包丁を入れる。
ふはぁッ!とうッ!上下のヒレなどを落とす。やッ!
内臓を取り出し、なんとか感傷の余地のない姿まで持って行くことに成功する。
あとは、端から丁寧に皮を剥くと、まるでふぐのように艶があり清らかな白身が出てきた。この時点で、すでにかなり小さくなっている魚を、慎重にさばいて身を取り出す。
このようにして、二匹から一口大の白身を四片取り出すことに無事成功。
あらかじめ昆布を引いただし汁を沸かし、まず洗って取っておいた頭、骨、その他の小片を湯に投げ入れる。ほどよいところで引き上げ、次に白身と豆腐を入れ、細かく刻んだ昆布も入れ、塩と醤油少々で味付けをする。できあがり。
完成したカワハギのすまし汁は、相当美味しかったといわざるを得ない。あれだけ少量でかくも濃厚な出汁が出来るのか、と小さい学生さんと感嘆した。

「でも、生きてるときのかたちみちゃったから、なんか、なまなまって気がする」

......そうなんですけどね。

少々「なまなま」した気持ちで頂いたすまし汁であったが、作った分は全て完食致しました。カワハギさんたちどうもありがとう。またお世話になることもあるかもしれないけど、どうかよろしく。今度会うときはもう少し大きくなっていて下さいね。