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おばあちゃんが「寒くなったらこんなのが暖かくていいのかしらねえ」と、ひつじのように毛足の長いじゅうたんやソファーカバーのカタログを我々に見せて相談してきました。
「機密性の高いマンションでこんなの敷いてたら、ダニが大繁殖しちゃうよ。ダニの養殖、ダニ牧場だ」
と元助手が意見を述べたら、横で聞いていた中くらいの学生さんが覚えたての英語で
「ダニファーマー!!」
とうれしそうに合いの手を入れます。
そこで
A:「Are you a good farmer?」
B:「イエース、アイアム グッド ファーマ… のーッ! アイム ノット ダニファーマー!!」
ひとしきりユーは良いダニファーマーであるか否かをめぐって英会話をしました。
...
またある日など肩を揉んでくれと頼んだら、中くらいの学生さんは元助手の肩に手を当てるなり
「いまからコリを上まで引き上げて、遠くに飛ばします…ハアァッツ!!」
と気合を入れるだけでちっとも揉んでくれません。しょうがないので、中くらいの学生さんの肩をむんずとつかんで
「こうやってみろウラウラァ」
と実演してあげました。
大騒ぎになってしまい、結局余計に肩がコりました。
こんな風に中くらいの学生さんが家の中にいっぴk、いや一人居ると大人の考えないことをいろいろ考えつくのでたいそう面白いです。
話は少々変わりますが、全国で中くらいの学生さんをめぐって悲しい事件が相次いで発生し、そのことについて大人たちが盛んに意見しています。
元助手の取っている新聞では、大人たちが「死なないで逃げて逃げて」とか「だれかに話せばすっきりする」とか「嫌だという勇気を持って」とかいろんなこと書いています。
そういう言葉を読んで、そうかもしれない、と納得する中くらいの学生さんもいるかもしれません。
でも、もしも元助手が、中くらいの学生さんたちに何か言葉をかけるとしたならば、たとえどんなにソフトであれ「〜しなさい」という言葉は選びません。
キミたちのおかげで、毎日とても楽しいです
キミたちがいて本当によかったなあ、っていつも思います
だから、キミたちがとてもつらい目にあったり悲しい目に遭うのは、大人である私たちにとっても、とてもつらくて悲しいことなのです
もしもキミたちがいなくなったら、もう本当にどうしていいかわからなくなる
お説教したり命じたりする前に、大人たちが自分の気持ちを十分伝えないと。
生きていることのリアリティを担保するのは、若さではなく、周囲の人間、とくに大人の力なのだと。
大人たちは、そのことを常に心がけないといけないと思っています。