雨のふるこの季節には、うす緑色のからを背に乗せたちいさいカタツムリが、しっとり濡れた道路を厳粛に横切るという儀式を繰り返していたものだった。
去年も一昨年も。

雨のない今年は、カタツムリの行進を見ることが出来ない。

ちょっとばかり雨がふった先月末あたりには、毎日かえるも鳴いていた。
ある晩、我が寮の入り口ドアを開けたとたん、

「むにょっ」

という感触を足裏に感じた。
すると、5センチくらいの大きな青いカエルがぴょん!!と飛び出して鉄製ドアに貼りついたのだった。

最近は、かえるの声も聞かない。どこにいったのか。

干上がったかえる沼の惨状がふと脳裏に過ぎる。いやだなあ、それは。

今雨が降らないと、山の植物も育たず、また秋になって熊も暴れます。


人も動物も植物も虫も、みんな困るので、どうか雨が降りますように。